スタンド・バイ・ミー


友達のいない私は、一日何をしたらいいか、わからない日がある。


例えば、梅雨が明け、夏の日差しが眩しい今頃なら、
若ければ、朝は急いで風呂に入り、海水浴場へ、ナンパだ、素潜りだ、
そして、夜には同級会、同級会じゃ飽き足らず、誰かいそうな場所を探しては
ブラブラと朝まで飲み歩く。


夏という短い貴重な時間をどう消耗するかに命を賭けたものだ。



しかし、今では、ひとりになれる場所を探して、
車に乗ってきては、そんな遠い記憶を思い出すばかり。




窓を開け、腕を投げ出した格好で時間を過ごす。


これは私の大好きな映画「スタンド・バイ・ミー」の冒頭のシーンのようでもあると、
酔いしれることがある。


結果、私は、右腕だけが日焼けして、左はまったく日焼けしない、
という一見、誰も理解できない日焼けをすることになる。




それでも、きっと、この右腕の日焼けだけが、
友達のいない私の「夏を過ごした」という記憶になるに違いない。


※ちなみに「Stand by me」というタイトルの和訳は
「ぼくのそばにいて」です。