幸福の黒いカラス 続編 山田洋一監督


出所後、久しぶりに足を踏み入れたこの町で、健さんは呟いた。


「随分、この町のカラスも増えたもんだな」



6年の服役の間、カラスは空を覆いつくし、この町の住人の数をとうに越えていた。


もはや、人間を恐れるカラスはなく、この町はカラスの支配下と化していた。



買い物帰りの人間を襲っては、食料を奪い去る。
それだけならば、まだマシだった。


カラスに襲われ、病院送りにならずに済むなどは、稀だった。



更年期を迎え、髪が薄くなって、頭皮をひた隠しにする女性たちのウィッグを剥ぎ取っては高らかに声をあげる。


時には、群れとなって、おばあさんを連れ去っていき、断崖絶壁から突き落とすことも。



幼い子供などは、群れに襲われたら、ひとたまりもない。
蒙古斑の残る幼子の肉質は柔らかく、カラスの大好物になっていた。



健さんは、すべてを見なかったことにして、
自分を待っていてくれるかも知れない妻の元へ急いだ。



                               
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以下は、不朽の名作 山田洋次監督 映画「幸福の黄色いハンカチ」


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何度観ても感動する映画ですね。