荒野のカラス

街はカラスが支配した。
見上げる空はカラスの群れで闇と化す。
サッカーでレギュラーを目指していた弟も、お兄ちゃん子だった妹もみんな、あのカラスたちに喰われてしまった。


街で評判の美人だった姉さんは、カラスに媚びへつらう者たちの手で生贄にされてしまった。
「ブランドの下着を買った」とはしゃいでいた。
今頃、姉さんはどうしているのだろうか。


カラスが見下ろす、路上には目を覆う光景しかない。


目をえぐられた老婆、柔らかい肉をついばまれ、さっきまで泣き叫んでいた赤子の声も止んだ。
しかし、誰も救ける者はいない。
もはや、人間は心までも黒く支配されていた。



続く
残念ながら、きっと来週もある
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